2011-01-10
中学2年の息子の担任、M先生の人柄に興味と共感を覚えたきっかけは、
息子が持ち帰ってきた1枚の道徳プリントでした。
それには、「本宮ひろ志という人の漫画に感銘し、
いわゆる『硬派』というものにあこがれ…」とありました。
これだけでもう釘づけです。
続けて、「何事も負けることが嫌で、弱きを助け強きを挫き、
納得のいかないことや筋の通らないことに対してはとても頑固でした」
しかし
「先生に逆らってみたり、友達をいじめたりすることは絶対ありませんでした」
「卑怯なことや友達を裏切ったりしたことはありません」
……などと綴られていました。その文は私の心をくすぐって揺さぶって、
何とも爽快な気分にしてくれるキーワードばかり並んでいました。
こんな先生がいるんだ!感動でした。
道徳プリントにこんなことを書く教師、私の周りにはいませんでした。
さて、カンニングを持ちかけたH君。
彼は学年トップクラスの優等生。
おまけにテニス部のエースでみんなの憧れの的でした。
そのH君は試験監督に見つかると手のひらを返すように自分を守って
カンニングはM少年に持ちかけられて作ったのだと嘘をつきました。
M少年は唖然としたでしょう。
だって、親友と思っていたH君に裏切られたのですから。
しかし、M少年は、親を呼び出されようが、
首謀者はH君であるということを暴露せず、最後まで口を噤んだのでした。
建武館 篠田剛
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※『ひと・もの・こと』は、2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものです。したがって、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。