『山本”KID”徳郁 ホーム転落男性を救出』245 日本空手道建武館 篠田剛

2012-04-23

「何のために空手やってんのかと思うだろう?」
こんな会話を親子ですることができた出来事がありました。

総合格闘家「神の子」山本“KID”徳郁が、
駅のホームから転落した男性を救出したのです。

「館長、山本キッドがやりましたね」
白濱が教えてくれて知りました。

それは4月12日の都営浅草線五反田駅でのこと。
利用客で混みあうホームから、一人の男性が線路に転落しました。
周りが躊躇する中、転落した男性を救おうと、
山本キッドが線路に飛び降りたのです。

ところがさすがのキッドでも気を失っている人の体は、
想像以上に重いので動かせませんでした。

すると、キッドの姿を見た乗客数人が線路に降りて、
一緒に抱き上げて助けてくれました。

人を助けようとする人たちは、
普段から“何かあったら助けよう”と思っています。
だから、ああいった事態のときとっさに行動に移せるわけです。

では何でキッドが誰よりも早く線路に降りることができたのか。

なにも人に褒めてもらおうと思ってやったわけではありません。
彼女がいたからカッコつけようと思ったわけでもありません。
“あいつ格闘家なのに助けなかった”と、
言われるのを気にしたからでもありません。

おそらく、ですが、状況判断がほかの誰よりも早いんだと思います。
それが証拠に、
「電車が来るほうをパッと見て、“来ないな、よし、行かないと”って」
そう考えてから行動を起こしたそうです。

何よりも、キッドは普段から“イメトレ”していたんだと思います。
こうなったらこうしよう、と。
これが、誰よりもいち早く行動を起こすことができた要因だと、
私は思っています。

格闘技、武道をする人たちは、
一点だけ見るのではなく、全体を見渡して判断します。
何もやみくもに行動を起こすような無鉄砲なことはしないものです。

だって、そんなことしたらいくら命があっても足りないですから。
そういう習性がキッドにも身についていたんでしょうね。

それに勇気、自信、そして人助けの心が加わり、
キッドの救出となったのだと、勝手に思っています。

息子達とこの出来事を、ご飯を食べながら話しました。

お前たちは何で空手を習ってるかわかるだろ。
組手が強いだけでいいのか、って言うとそれだけじゃダメだよな。
こういう時に助ける勇気がなければ、
何のために空手やってんのかと思うだろう?

息子達はうなずいてくれました。
キッドに拍手。
そしてこういう親子の話材を提供してくれたことに感謝。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。
コラムは毎日掲載していますので宜しければ明日もまた読んでみてください。

篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi 日本空手道建武館 館長
■建武館では空手やキックボクシングはもちろん、3歳から始められる空手運動クラス、女性でも気軽にできるソフトキック、60歳からのアンチエイジングトレーニング、自主トレーニングコースも常設しています。

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※『空手のこころ』は2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものですので、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。

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