『東電福島原発 見えない恐怖との戦い』 9

2011-03-17

2011年2月5日、
先代館長篠田勇気男の会長退任祝いに福島県から馳せ参じた男たちがいます。
建武館福島支部の本部長ら3名です。
彼らは東電の関連会社、地元消防団の教官、原発の関連会社経営者。
昨夜、福島本部長から先代あてに次のメールが届きました。

アキオは恐らく発電所の消火活動をしていると思います。
震災当初メールを貰いましたが、その後連絡取れません。
でも、無事でいるようです。
ヨシナリはつい先程燃料を持って私の所に来ましたが、
発電所の災害対策作業で現場に行きました。
死ぬ覚悟で向かいました。
悲惨な状態です。
災害間もない私の故郷双葉町の写真を添付します。
私も間もなく福島第二発電所に向かいます。
元気な姿でまた皆で会えますように!

皆さんは任侠ということばをご存知ですか。
よく「任侠映画」というように使いますね。
だから“任侠はヤクザ”というイメージを抱く人も多いのではないでしょうか。
でも、それはちょっと違います。

ウィキペディアにもあります。
任侠とは、本来仁義を重んじ、
困っていたり苦しんでいたりする人を見ると放っておけず、
彼らを助けるために体を張る自己犠牲的精神をさす語。
仁侠、義侠心、侠気、男気などともいう。

武士道でいうところの惻隠の心。つまり弱者や敗者に共感する心。
仏教でいうところの利他の精神。
つまり世のため人のためにすることが自分の喜びとする心。
任侠はそれと同じくらい、いやそれよりも激しい感じを抱かせます。

今、日本は任侠の人が被災地で身を削りながら頑張っています。
自分のことは後にして、不惜身命、他の人の救済のために尽くしています。

彼らは見えない恐怖と戦っています。
そんな汗と泥にまみれて奔走している姿に、
私は拝みたくなるほど畏敬の念を抱いて仕方ありません。

3月15日の米紙ニューヨーク・タイムズは、
「勇敢に立ち向かう50人」と原発作業員の献身を伝えています。
自国の数百万人もの人々を危険にさらすことを防ぐため、
放射線と火災に勇敢に立ち向かっていると伝えました。
まさに私が感じていた言葉でした。

本部長! アキオ! ヨシナリ! 元気な姿でまた会おう!!

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篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi
日本空手道建武館 館長
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※『時局放談』は、2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものです。したがって、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。
 

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