『緊迫下での心温まるお話』 8

2011-03-15

教え子のお母さんからの心温まるお話をいただきました。
その方は足が不自由で電動車イスを利用されています。

あの巨大地震の時、お一人で池袋のデパート7階にいらしたそうです。
地響きとともにフロア全体が激しく揺れ、陳列商品が飛散しました。
天井からはパラパラとコンクリートの粉が落ちてきて辺りが白く煙り出しました。

何をすることもできず、
そこにいるはずもない息子さんの名を心で叫ぶしかありませんでした。

独り茫然としているとき、
なんと一人の店員さんが地上まで必死に背負ってくださいました。
そして電動車イスが運ばれるまで、側にずっと寄り添っていてくれたそうです。

その店員さんにも小学生と赤ちゃんがいるとのことでした。
お母さんが、心配でしょうねと案じると、
「心配です。でも今は目の前にあるできることを、一生懸命やるだけです。大丈夫です」
毅然と答えてくれたそうです。

地震の瞬間は、我が子はどうなっているのだろうかと心が騒いでしまうものです。
ましてや自分の身も危うい状況では、
他人のことなど気に留めていられないものでしょう。
しかしこの店員さんは違いました。

お母さんは今回のことで、
非常事態での人の優しさや強さを改めて感じたそうです。
私もこの話を聞いて、とても心温まる思いがしました。

なお、安否のわからなかった福島県本部長の竹原君は、
その後連絡が入り無事であることがわかり一安心しました。

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篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi
日本空手道建武館 館長
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※『時局放談』は、2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものです。したがって、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。

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