『天職に誇り』 13

2010-11-16

私の長男坊の中学校担任、今どき珍しく男を語ってくれる素晴らしい先生の話。

女房は、私が担任の先生と会いたがっていることをうすうす感じていたのでしょう。
中学校から三者面談の通知がくると女房は
「行きたいんでしょ?」と言って来ました。

夏、三者面談の日。私は中学校を訪問しました。
学校行事参加には何となく気恥ずかしく感じるものです。
しかし、先生とお会いすることの喜びが恥ずかしさを抑えてくれていました。

校庭で部活をしていた息子に声をかけ、一緒に教室に入りました。
先生と会うのはこれが初めて。
お話を伺って、すぐに実直な方だとわかりました。
実直な人がよくなる世の中でありたいものです。
しかし現実は誠実で正直者は小ばかにされる住み難い世の中です。

道徳の、あの思い出話を読んで共感したのは、
実は私も小学生のとき似た経験があったからでもありました。

友達のランドセルが誰かに隠されて帰れなくなりました。
担任の先生はすぐさま私を見て、
 篠田くん、出しなさい。あなたの顔に書いてあります…。

遊び仲間の一人が隠したのですが、
その先生は私一人を残して説教し最後まで私を犯人扱いしました。
校舎を出ると遊び仲間が待ってくれていて、一緒に下校しました。
私は家に帰るなり、一人悔し泣きしていました。

この原体験で得た教訓。
子ども達、特に「鼻つまみ者」と呼ばれている子どもを、
はなから色眼鏡で見て
「この子はこうだ」と決めつけてしまわないようにしよう。
信じて良い所を見てあげよう。
そう心に誓ったのでした。

まさに、長男の担任の先生も同じ気持ちだったのではないでしょうか。
カンニング首謀者と決めつけた先生を反面教師にして、
絶対いい先生になる! 生徒を見てくれで判断せず真実を見てあげる! と。
嫌なことは自分までで終わりにして、
逆に心地よいことは順送りにやってあげよう、と。
先生は今、ご自分の天職に誇りをもって、
誠心誠意、全力を尽くしておられるのだろうと思います。

息子の担任となって頂いてよかった。

建武館 篠田剛

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※『ひと・もの・こと』は、2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものです。したがって、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。

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