『必死で頑張るから分かる 人の温もり』84

2011-12-23

励ましの声に助けられた経験があります。
10㎞マラソンの後半で気絶して、目が覚めて再び走り始めた時でした。

あと数キロがつらくて苦しくて何度も何度も心が折れそうになりましたが、
沿道から
「あと〇㎞よ!頑張って!」
見ず知らずの私に必死で応援してくれるんですね。
何人もの人が励ましてくれたおかげで、
ボロボロになりながらもゴールできました。

あの時に、全力で応援することの大切さを学びましたね。
応援で人を奮い立たせることができるんだと実感しました。

でも残念ながら、誰もがそれを実感できるものではないんですね。
もがいて苦しんで、必死に頑張った人でないと感じることができないんです。
おかげで、人の温もりや感受性を育てるなら、
必死に頑張らせることが肝心だということも学びました。

私の考え、例えば徹夜行脚をしよう、などという突飛な発想は、
こういう原体験が源泉になっています。

徹夜行脚で、こういうことがありました。
寒さと眠気を感じ始めた夜中の2時半頃。
三芳町藤久保西のセブンイレブンで夜食休憩を終えた時です。
現在地を確認しようとコンビニの店員さんに地図を広げて聞きました。
「ここ(川越駅)から街道を歩いてきたんですが、
今どの辺りにいるんでしょう」
すると店員さん、子ども達を見て
「えっ!川越から歩いて来たんですか?すごいですね!」

こういう言葉を私は待っていたんですね。
店員さん、よくぞ言ってくれた、そう思いました。
このたった一言が子ども達の元気の素になるんです。

朝霞警察署で暖をとらせてもらったときもそうでした。
去り際に、ゲートで門番をしているお巡りさんがしゃがんで
「君たち、本当にえらいね。これからもがんばってね」
と優しく労ってくれました。

店員さんやお巡りさんなど、大人のさりげない言葉が、
子ども達の大きな励みになっているんです。
こういう経験を積んだ子ども達は、
「必死で頑張ること」「全力で応援すること」
この二つを同時に学ぶんです。

本気になれる環境を作ってあげるのが、我々大人の役目なんです。
そういう想いが感じられる道場を創ることが、
今の私の生きがいとなっています。

『我武者羅應援團』

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篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi 日本空手道建武館 館長
財団法人日本体育協会公認上級指導員
介護予防サポーター こころの健康サポーター
板橋区にある地元密着の空手道場で“ガマンを売る空手家”
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※『ひと・もの・こと』は、2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものです。したがって、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。

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