『魔の7.5km地点』82

2011-02-18

10kmマラソンの話。
7kmを過ぎたところで息づかいが荒くなったと思ったら、…
……気を失っていました。

けたたましいサイレンの音で徐々に気が戻ってきました。
気が戻るにつれ体全体がもの凄く痛くなってきました。
まるで雑巾のように体をギュッと絞られたような痛みでした。

やがて目が開けられるようになると、
目の前に係員らしき人が心配そうに私をのぞいていました。

ああ、俺は倒れていたんだ。

サイレンは私を乗せる救急車だと察しがつきました。
もたもたしていたら救急車に乗せられる!
そう思って立ち上がる私を、
さっきの係員が制止しましたがその手を振り切って走り始めました。
まるで…犯人が刑事の制止を振り切って逃走するかのように!

少し経ってから、ふと足元を見るとなんと裸足でした。
おそらく長い間気を失っていて、
衣服を緩めたり靴下を脱がしたりしてくれていたんですね。
私は、倒れた地点からゴールまでおよそ2.5kmを裸足で走ることになりました。

これがとてもつらく、そして長かったなぁ……。

建武館 篠田剛

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※『おれの半生』は2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものですので、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。

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