2011-01-26
私がバイクを乗り回している頃。
実家のすぐ近くに一つ下の男が住んでいました。
そのバイク、かっこいいですね!
初対面なのに、やけになれなれしい。
背は大きくて金髪。
着飾ってはいるが、しかしどことなく田舎者という雰囲気を漂わせ、
それがすごく取っ付きやすく感じさせました。
すぐに仲良くなりました。
男の名は後藤順治。
ジャニーズの田原俊彦に似ていて、
しかしタハラと呼ぶにはちょっと田舎くさいので、
タワラ、と呼ぶようになりました。
ある日、
タワラが私にバイクを貸してほしいというので貸してあげました。
その夜中にタワラから電話がありました。
彼の後輩に私のバイクを貸したようで、
その後輩が警察に捕まった、というのです。
慌ててタワラの住むアパートに駆け付けました。
部屋に入ると、タワラと高校生くらいの若者がいました。
その若者は捕まった男の友達らしい。
二人はテレビを観ながらくつろいでいて、
後輩が捕まっていることをまるで心配する様子もありませんでした。
私は何だか急に腹立たしくなり、タワラを叱りつけました。
後輩を護ってあげるのが先輩の役目だろう、と。
そんなことがきっかけで、タワラは私になついて、
つよし君、と言って私の後をついてきてくれました。
建武館 篠田剛
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※『おれの半生』は2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものですので、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。