直接打撃に変わってからも同じようなことがありました。
キックのプロで活躍している道場生が昇段審査を受けた時のこと。
審査では素手素足で組手をしますが、
馴れ合いの組手は断じて許しません。
ですので力いっぱい突き蹴りします。
彼は180cmを超える長身。
私の胸元を狙ったつもりが喉に食い込みました。
あのときは30秒、いやもっとかな。
息ができませんでした。
それでも平然とやっていたので、
彼はまったく気づかなかったようでした。
もちろん後で彼に「痛かったぞ」なんてことも、
当てたことさえ言っていません。
そういった振る舞いは自分の心を満足させるためだけなのですが、
しかしそれは自信につながるものでもありました。
建武館 篠田剛
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※『おれの半生』は2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものですので、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。