2011-05-09
愚直で不正を許さない潔癖な人間は、
実業の世界では生き抜けないと言われます。
その理由は、不正やズルを許せないガチガチ人間には、
取引先や部下がついていけないからです。
酸いも甘いも噛み分ける
=人生経験が豊富で、世の中の表も裏も知っている=。
清濁併せ呑む
=善も悪もわけへだてなく、来るものはすべてあるがままに受け容れる=。
世間の荒波を乗り越えるには、
そういった度量も必要だということだと思います。
でもそれができる人は、実はほんの一握りの人なのです。
言うは易く行うは難し、です。
なぜならば。
人は易きに流れるからです。
表の世界は実力勝負だが、裏の方はラクなことが多いものです。
自分に厳しい人ならよいのですが、
甘い人はラクという堕落のスパイラルにどんどん嵌ってしまうからです。
もう一つの理由として、
美点凝視ができる人だけが善悪併せ呑むことができるからです。
悪事を見ると普通の感情の持ち主なら嫌悪感を抱きます。
その悪事をも受け容れるのには心の整理が必要です。
「この人は、この面については難点なのだが、
一方ではこんないいところがあるじゃないか」と。
つまり、いいところを見つめてあげることができれば、
悪事も受け容れられるようになります。
だから。
社会的正義感は人一倍、部下の失敗も自分が責任を取る。
反対に成果があがれば部下の手柄とする。
自分は愚直に生真面目に生きることを心に決めて、
人には徹底して美点凝視を貫く。
そんな人間になりたいし、子ども達をそんな大人に育てたいのです。
わが子や世の子どもを、
自分に厳しく、人に優しく、正義を貫く人に成長させる。
これは「おやじの会」の命題でもあります。
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篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi
日本空手道建武館 館長
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※『空手のこころ』は2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものですので、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。