2010-12-26
学帽の作り方を先輩から教わりました。
作るといっても縫製するわけではありません。
蝋とポマードで“焼き”を入れます。
気合いを入れて“しゃん”とさせるわけです。
確かこんな感じでした。
まず学帽の表面に蝋をたらします。
蝋燭に火を灯してその表面をあぶります。
毛羽立ちが熔けて硬くなります。
あぶりすぎると焼けて穴が開いてしまいます。
これがまた夏場は風穴となって頭が蒸れずにすみます。
そして最後に『柳屋』のポマードを塗ってなじませて完成です。
なぜ柳屋なのかわかりませんが、
恩慈先輩が「柳屋がいいんだ」と言われるから、柳屋がいいのです。
軟弱な書生帽から、気合いの入った拓大帽に変わりました。
作れば愛着と誇りが湧いてきます。
弊衣破帽は、
“男として闊歩するのに身なりを気にする暇などない”
という心の表現でした。
建武館 篠田剛
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※『おれの半生』は2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものですので、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。