『ばかになり切る』 51

2010-12-25

OBを招いての酒席は常に緊張の連続でした。

会場の予約や、招待状を一枚一枚丹念に書くことから始まり、
酒の注ぎ方や煙草の火のつけ方や、
粗相のない進行、飲んでも酔わず無事にお開きにさせる。
失敗しては叱られて覚えていきました。

宴の途中では興を添えるため、後輩が拓大の歌をがなり声で歌います。
「押忍。
拓禅会、学一篠田、拓大トコトンヤレ節、歌わさせて頂きます」

ひととおり拓大の歌が終わると、次は、ばか歌に移ります。
ばか歌はそのものずばり、ばかになって楽しませる歌のことです。

童謡だろうと何だろうと、自分の持ち歌を曲に合わせて踊ります。
恥ずかしがってはいけません。
ばかに徹して真顔でやります。

他の愛好会同期の間で、
“尻込みするようなことを平然とやってのける”
ということを、
その覇を競うが如く我先にとやっていくようになっていきました。

酒席を仕切ることは人の心をつかむという意味で、
社会でのリーダーとしての準備体験となりました。

また、酒席でのばか歌は、いざという時
“ばかになり切る”スイッチを入れる訓練となりました。

建武館 篠田剛

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※『おれの半生』は2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものですので、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。

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