『小汚い学ランの男』 43

2010-12-18

おやじが亡くなったのが4月2日。
その直後に私は念願の拓殖大学に入学しました。

拓大は空手の名門でしたが流派が違っていたので、
私は空手部以外のクラブに入ろうと初めから決めていました。

学内ではクラブの新入生勧誘が始まりました。
私は当時パンチパーマでしたので、
私への勧誘はガクランの先輩ばかりでした。

勧誘は、それはもう強烈でした。肩を組んできて強引に誘います。
しかし私の理想とするクラブにはめぐり会えませんでした。

何日かして、
私のクラスにいた小汚い学ランを着た男が私に声をかけてきました。
まさか同級生が?と思いましたが、やはり私を勧誘しにきたのです。
先輩が、私を誘うようにと言われたようです。

恰好に似合わず語り口が優しい男、
この男に何だかわからぬ興味をひかれてしまいました。

男が言うには、
そのクラブは精神修養として坐禅をしているというのです。
坐禅か…。
とにかく先輩がいい人だから一度会ってみれば、というので、
私は彼の後についていくことにしました。

建武館 篠田剛

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※『おれの半生』は2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものですので、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。

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