『おやじらしい通夜』 40

お通夜。
私のおやじは破天荒。

ですので前代未聞のお通夜となりました。
お清めの席でのこと。
兄や私の友人も多数駆けつけてくれました。
みんな故人を前に、しんみりと偲んでいました。
そこに、誰からともなく

おやじさんはしんみりするのは嫌いだから、
おやじさん流に盛大に騒いで弔おう。

おやじはみんなから、
おやじさんとかおやっさんとか呼ばれていました。

私の友人の一人は芸達者で、
アニメの主題歌を振り付けで歌わせたら日本一、
いや宇宙一と呼ばれていました。

先輩がイントロを口ずさみ、それが合図かのように始まりました。
お通夜が一転して大宴会に変わった瞬間です。

テーブルに飛び乗り“デビルマン”だの“マジンガーZ”だの、
延々と持ち歌が披露されました。

飛び降りた勢いでテーブルの脚が折れて料理はめちゃくちゃ。
おやじも苦笑いの陽気なお通夜となりました。

建武館 篠田剛

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※『おれの半生』は2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものですので、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。

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