『拳法から空手へ そして新しい母』 6

恥ずかしがり屋の幼少時代。

引っ込み思案でいつも目立たぬようにしていました。
自分を素直にアピールする友達を、
でしゃばり者、と嘲笑と羨ましさとが綯い交ぜになって見ていました。

決して明朗でなかった私を変えさせたい、
そんな願いも一片にあったのでしょう。
父が拳法の先生を招いて私達に習わせたのです。

その前か後か、記憶が定かではありませんが、父は離婚しました。
私の性格は、そんな家庭事情からつくり出されていたのかもしれません。

それから1年。

ある人からのつながりで、啓心会という空手道場のお世話になることになりました。
試合もここの会が主催する大会に出場できるようになりました。

その啓心会から少年部初段を頂き、
翌1972年の啓心会全国大会で型の部で初優勝しました。
兄は私よりはるかに強く、その時も優勝していたと思います。
兄弟ダブル優勝は何度もありました。

勝つことの喜びを覚え、翌年も優勝。
その後も、隔年で優勝しています。
1975年は組手の部でも優勝しました。

しかしその間、家庭では心揺れる出来事がありました。
2番目の母親との唐突な対面です。

それは小学校3年生ごろの夏合宿のとき。
船着場での稽古中、遠くの電信柱の陰からある女性が稽古を見ていました。
誰だろう?と思いつつ稽古が終わって合宿所に戻ると、
その女性はもうそこにいたのです。

父に呼ばれて女性の前に座ります。父は、

お前のお母さんになる人だ。

そんな感じだったと思います。あまりにあっけなかったですね、母親との出会いは。
 

2010-11-06

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※『おれの半生』は2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものですので、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。

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