『大震災に思う3 じっくり聞いて心根を推し量る 震災が気づかせた』63

2012-03-09

大震災の発生から1年が経とうとしています。
これから、あのとき感じたことを思うままに書き記すことにしました。

震災を通じて、人の心の在り方について考えるようになりました。

肉親を亡くした人や目を覆いたくなるような体験をした人の心。
そのような人たちはどのように思い、どのようなことを望んでいるのか。

私たちはよく「大丈夫ですか?」と聞いてしまいます。
しかしこの言葉は被災者にとっては気休めか他人事にしか聞こえません。
いっときの慰めなど言われても茶化しているとしか思えないのです。

親を亡くした子供が避難所ではしゃぎ回っていました。
本当はつらく落ち込んでいるはずです。
ではなぜはしゃぐのでしょう。

実は子供ながらに無意識のうちに、
はしゃぐことで心のバランスをとっているんです。
そういう心も知らずに「静かにしろ」と怒ってしまいます。

体が冷え切ったときに食べる温かい食事はほっとします。
それと同じように、
心がつらく凍えているときはそばに寄り添ってあげることが大事です。
その人の温もりを感じて、
あぁ独りぼっちじゃないんだと心に沁みてくるものなのです。

孤独というのは自分のまわりに人がいないからではありません。
疎外感からくるのです。
自分の思いが人に通じないときに沸き起こるものなのです。

自分のことしか言わない、
聞いたとしても途中で言葉を遮り思い込みで言葉を返す。
刃物のように鋭い論調がいたるところで飛びかっています。
そんな中にあって、
じっくり聴いてその人の心の奥底にある心情を吐き出させてあげる。
慌ただしさを言い訳に、こういうことをないがしろにしていました。

じっくり聴いてあげる。
心根を推し量る。
とてもシンプルですが、しかしとても大事なことです。
震災は、それを改めて気づかせてくれたような気がします。

追伸
ドナルド・キーンさんが日本国籍を取得しました。
このことについて後日お話しします。

篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi 日本空手道建武館 館長
■板橋税務署の近くで目にとまる“ガマン売ります”のポスター。そう、建武館はガマンを標榜しています。

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※『時局放談』は、2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものです。したがって、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。

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