『純粋に 親父は凄い』 36

2010-12-14

体格のいい人が、思いっきり角材を振り下ろす。
この人も、親父の心意気がわかっている人でした。
だからこそ、無心で思い切り振り下ろせたのだと思います。
普通の人なら躊躇するはずです。

角材は、親父の前腕の部分でポキッと折れて飛んでいきました。
振り下ろす人も上手かった。
相当、覚悟して振り下ろしたことでしょう。

続く杉板割りは、二つのブロックの間に板を重ねて置きます。
お相撲さんがしこを踏むようにやや股をひろげ、
腕を上から下に振り下ろして割るものです。

気合いとともに振り下ろしますので、足腰だけでなく腹筋も使います。
手術で腹を切った親父にとっては、
力がはいらないばかりか傷口によくない行為です。

杉板は5枚重ねると結構割れません。
殴った手も痛くなります。
親父は構わず、力が入らぬ腹に力を込めて、
気合いとともに腕を振り下ろし、見事、割ってのけました。

親父は凄い。

舞台の袖で見守っていた私は、
ただ単純に、ただ純粋に、そう思いました。

建武館 篠田剛

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※『おれの半生』は2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものですので、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。

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