『薄情な世の中』 35

2010-11-23

先日、コナミスポーツクラブ大山での指導後の、
道場への帰り道のことです。

前方の路上に何かありました。
暗がりでよく見えません。
凝らして見ると自転車にまたがったままの状態で、
人が倒れこんでいたのです。

驚いて自転車を停めて近づきましたが、
頭を打ったのかその間、動いていませんでした。
大丈夫ですかと声を掛けながら近づくと、
ようやく体が動いたので少し安心しました。

怪我はなかったようなので両脇をかかえて立つのを手伝い、
自転車を引いて帰ってくださいと一言告げて、
見えなくなるまで見送りました。

この通りは板橋税務署と区立グリーンホールという施設が
沿道にあって、路地ながら、かなり人通りの多い道です。

私が気づくまでに何人もの人が通り過ぎているはずです。
もし人が倒れていると知りつつも声を掛けなかったとしたら、…

なんて、薄情な世の中。

この寒空に自転車の下敷きになっているのにです。
確かに身なりは綺麗とはいえませんでした。
近づくと少し臭いもありました。
でもそれがどうしたというのでしょう。

かかわると面倒くさいから?
実利実益がないことをしても無駄だから?

困っている人がいたら助ける。
そう心に決めておく。
その時の気分がいい悪いで行動を変えない。
一度決めたらブレずにやる。
貫き通す。

いくら賢くても有能であっても地位のある人でも、
弱者を助けることができなければ私は軽蔑します。
逆に、年下だろうが何だろうが、
損をしようがお構いなく助けられる人を尊敬するのです。

建武館 篠田剛

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※『空手のこころ』は2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものですので、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。

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