『サッカーのホペイロのような存在 用務員の新しいかたち』348 日本空手道建武館 篠田剛

2012-09-08

トイレ掃除を用務員にさせる学校がありますが、
果たしてそれでいいんだろうかと思います。

だって、自分たちが使った場所を掃除するのは当たり前で、
それを教えるのが学校のはずだからです。

だけど、見方を変えると、用務員にさせるのは絶対ダメ、
ではないんじゃないかと思えることがあります。

むしろ、用務員がいるほうがいいんじゃないかと。
あれ?篠田さん、いつもと主張が違うんじゃないの?
と思われそうですが。

実は、Jリーグが結成されてからのことですが
「ホペイロ」という存在を知りました。

ホペイロというのはサッカー選手が使う用具すべての管理と、
ケアを行う職業です。
たとえば練習後、選手のスパイクに付いた泥を、
ブラシできれいに取るのも仕事です。

それを知って、はじめはこう思いました。
野球のイチロー選手は自分のグローブについた汚れを取って、
丹念に磨き上げるんだ。
サッカー選手も自分のものは自分で管理しないと。

ホペイロのような存在は、わがままな競技バカを、
つくってしまうのではないか。
日本人の謙譲の美徳がなくなるんじゃないか。
…そう思っていました。

ところが、ホペイロの仕事はそれだけではありませんでした。
ホペイロはまるで母親のような存在でもあることがわかりました。

ある有名なスペインのホペイロが、
ホペイロ修行中の日本人にこうアドバイスをしたそうです。

『レストランで食中毒が出ることがあるのは、たくさんの人たちの食事をつくるうちに、途中で心がこもらなくなるからではないか。でもお客さんをわが子と思って仕事をすれば、そんなことは起きない。ホペイロも親がわが子に食事を与えるような気持ちで選手をサポートすれば、細かなところまできちんと行き届くはずだ』。

この話を聞いて、用務員に業務委託することの見方が変わりました。
というのも、何となくホペイロと用務員を重ね合わせたからなんですね。
もし、用務員のおばさんが、子供たちの母親代わりの存在であればなと。

悩んでそうな子がいたら話しを聴いてあげる。
やんちゃな子がいたらちゃんと叱ってあげる。

トイレ掃除をしながら、子供たちをわが子のように接してあげるのです。
そんな存在であれば、私は用務員がトイレ掃除をすることに賛成です。

子供たちが勉強や学校生活に集中できる環境にも、
一役買うことができます。
そんな仕事のプロ、スペシャリストを雇う学校が現れればいいかな、
そう思えました。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。
コラムは毎日発信していますので宜しければ明日もまた読んでみてください。

篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi 日本空手道建武館 館長
■建武館では空手やキックボクシングはもちろん、3歳から始められる空手運動クラス、女性でも気軽にできるソフトキック、60歳からのアンチエイジングトレーニング、自主トレーニングコースも常設しています。

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※『空手のこころ』は2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものですので、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。

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