『魔裟斗の出稽古』344 日本空手道建武館 篠田剛

2012-08-02

魔裟斗といえば日本人初のK-1 WORLD MAX世界王者。
K-1や格闘技界の一世を風靡した人です。

その魔裟斗が現役の頃、出稽古をする姿をテレビで見ました。
彼は激しい練習を終えると、一人で黙々と掃除をしていました。

彼には反逆のカリスマと呼ばれて荒々しいイメージがあります。
しかしその黙々と掃除する姿はまるで別人のように真摯な人でした。

魔裟斗がなぜこのように熱心に掃除をするのか。
私は、彼がジムを退会した2000年からの苦労が、
そうさせたのではないかと思っています。

この年、魔裟斗は所属していたジムを飛び出して、
練習場所を無くします。
もちろん試合も組んでもらえませんでした。
彼自身、この時期が一番つらかったと述べています。

そんな不遇な時期に、いくつかのジムが、
練習場所を提供してくれました。
これは魔裟斗にとって、とても有難かったでしょうね。

魔裟斗はその年の7月、自主興行で実力を見せつけます。
そしてそれが引き金となってK-1の舞台に立ち、
一気にスターダムにのし上がります。

これは運ではなく彼が実力でもぎ取ったことに間違いありません。
だけど私はそれだけでなく、
魔裟斗という人間がよかったからだと思います。

魔裟斗は不遇な経験をしました。
出稽古ができる有難味を知りました。

出稽古をするたびに感謝の気持ちが人一倍大きくなったのではないか。
だから使わせてもらったものをきれいにして返すということを、
当たり前のようにしていったんじゃないか。

そういうことを重ねていきながら、
強さとともに人間性も増していった。

だからこそ魔裟斗ファンが根付き、
彼の時代が到来したのではないかと思っています。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。
コラムは毎日発信していますので宜しければ明日もまた読んでみてください。

篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi 日本空手道建武館 館長
■建武館では空手やキックボクシングはもちろん、3歳から始められる空手運動クラス、女性でも気軽にできるソフトキック、60歳からのアンチエイジングトレーニング、自主トレーニングコースも常設しています。

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※『空手のこころ』は2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものですので、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。

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