『道場が禅寺 3』 7

2010-11-02

道場で寝泊りの修行合宿。
普段の稽古にない食べる、寝るという場面で何かを教えたい。
そんな想いで合宿を計画しました。

さて、道場で寝ることについて。
考えてみれば私自身これまで道場で寝たことなどありませんし、
寝る必要もありませんでした。
子ども達は道場で寝れるのか。
合宿の数日前、子ども達に寝かせる前にまずは自分が寝てみようと、
一人で眠ってみることにしました。

この日は居残り稽古の日。
いつも深夜0時過ぎまで道場生がいます。
全員が帰り静まり返った道場に、
キックミットを枕にして試し寝を一人してみました。

道場は道路に面したガラス張りなので人の往来があります。
道行く人は何でこんな時間に人が?と薄気味悪かったでしょう。
マットが硬いので、朝起きたら案の定、寝違えたのか首が少し痛かったのですが、
“修行”と考えれば何とかいけそうです。

これで「寝る」ことの不安もなくなり、あとは合宿当日を待つだけとなりました。
そして合宿が始まりました。
出来事をすべてお伝えしたい所ですが紙面スペース上、
主なものをかいつまんで書きます。

合宿をはじめるにあたりその趣旨を、
道元という偉いお坊さんのエピソードを挿んで話しました。

道元が禅を学びに中国に行った若かりし頃。
料理係をしている老いたお坊さんに対して見下げる言い方をしたくだりです。
年老いてまだ料理係かと。
するとそのお坊さんは、禅ばかりが心を鍛えるものと思ったら大間違い、
料理も心を込めれば禅と同じ効き目があるとピシャリと言い返しました。

道元は内省し、
以後、日本の禅寺では日常のあらゆる生活を修行の一つとしたのです。
私も禅寺ような、
日常を「生活禅」のつもりで心を鍛えるような合宿にしようと工夫しました。(続く)

建武館 篠田 剛

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※『ひと・もの・こと』は、2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものです。したがって、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。

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