『道場が禅寺 2』 6

2010-11-01

私が大学時代にした禅寺修行を道場の子ども達にも経験させようと、
道場合宿を思い立ちました。
そしていよいよ実行する日がやってきました。
10月23、24日のことでした。

参加したのは特別クラスといって、試合で勝利することを目標に置いて、
その目的はカッコいい大人になる、というクラス。
そのうちの小学4年生から中学2年生までの男女15人と、
それに白濱指導員が合宿に参加しました。

合宿の趣旨は、合宿で子供の心を強く逞しいものにさせる、です。

親元を離れて寝泊りするのは寂しく不安です。
その孤独を乗り切った時の達成感を味わわせ、
子どもを一回り大きく成長させようとしました。

また、つらいからやめようとか眠いからもうちょっと寝ようとか、
安きに流されそうになった時、
絶対に流されまいというぶれない芯を育てようとしました。

そして、ご飯が食べられること、布団で眠れることといった“当たり前のこと”に
感謝できる子にさせようとしたのでした。

ちなみに、布団で眠れる有難みを子ども達に味わわせるにはどうしたらいいか。
考えた結果、
ベッドの代わりに道場の床マット、枕の代わりに使い古しのキックミット。
これしかない!そう心に決めていました。

床マットで眠れるのか?
私本人も寝たことがないのによく子どもにやらせるよな。
自分にそう思ってました。
ですので、いつか試し寝してみようと思いつつも、
仕事の忙しさにかまけてずっと実行できませんでした。

ある日、合宿の打ち合わせ中にこの話をした時、
炊事の世話をしてくれることになった道場生のお母さんからの
何気ないひとこと、

「さっそく今夜にでも試してみたらいかがですか?」

それもそうだ、合宿日まであとわずか。今夜は道場で寝よう。
子供のように単純な私がいました。(続く)

建武館 篠田 剛

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※『ひと・もの・こと』は、2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものです。したがって、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。

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