2012-07-11
明治大学野球部伝統の便所掃除。
前にも話したね。
そう。
キャプテンになったら毎朝の便所掃除が仕事になるという話だよ。
なんで?って思うだろ。
普通、逆でしょ。
キャプテンになったら威張ってていいでしょ。
便所掃除なんか1年生にやらせればいいんだから。
そもそも便所掃除は用務員の仕事だし、
なんでわざわざ学生がやるんだと。
そう思うよね。
ところが毎朝やる。
それが明大野球部のしきたりだったんだ。
そうはいっても面倒くさいときもあってね。
ある日、星野さんは下級生にやらせたことがあったんだ。
下級生はしっかりきれいにしたつもりが、
ちょっと汚れを残しちゃった。
それがたまたま島岡監督が入るトイレだったんだよ。
島岡監督は見つけるなり星野さんを呼びつけてね。
俺はいつもどんな教育してるんだ?!
すると星野さん、
いつも清潔に爽やかに常に舐められるような状態であれと教育を受けています!
だったら舐められるだろう!
そのあとが島岡監督の教育の真骨頂だ。
こうやって掃除するんだ!!
そう言って、便器に素手を突っ込んでごしごし。
星野さんの前でやり始めた。
なんで島岡監督は自分でやり始めたんだと思う?
だいたい、なんで歴代キャプテンに、
便所掃除の仕事をやらせてたんだろう?
俺が思うに。
監督は“上の者が先頭に立ってやるのだ”
という精神を身に付かせたかったわけだろ。
手を抜くのはその教えがまだわかってない証拠だ。
だから、早くわかってくれ、そして徹底してやってくれ!
そんな思いがあったんだと思うんだよね。
星野ならわかってくれてたと思ったのに、
という期待があったゆえの無念もちょっとあって。
そして…。こいつを伸ばしたい!いっぱしの人間にさせたい!!
そんな強烈に熱い想いがあったからだと思うんだよね、
島岡監督が自らごしごしやったのは。
最後まで読んで頂いてありがとうございました。
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篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi 日本空手道建武館 館長
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※『空手のこころ』は2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものですので、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。