『島岡吉郎という人』324 日本空手道建武館 篠田剛

2012-07-07

星野仙一さんの話をもう少しさせてもらうよ。

星野さんはお父さんの顔を見たことがないんだ。
そう、星野さんが生まれる3か月前に、
脳腫瘍で亡くなってしまったんだ。

だからなのかな。
明治大学野球部の監督、島岡吉郎さんを、
「おやじ」と重ね合わせたんだ。

その「おやじ」はもの凄く怖い人だったらしいよ。
いつも部員に口やかましく大声でどなりつけるんだ。
ほんとうに雷おやじ。

早稲田との負け試合のあとにもこんなことがあった。
この時の投手が星野さんだった。
無様な負けをしてしまってね。

夜中の1時ごろ雷が落ちた。島岡監督の大声が寮に鳴り響いたんだ。
パンツ1枚で出てこい!
そう言って真夜中のグラウンドに星野さんを一人呼び出したんだ。

雨が降って真っ暗なグラウンド。
そこで島岡監督がこう言ったそうだよ。
グラウンドの神様に申し訳ない、謝れ!

星野さんだって猛反省してたろうに。
誰よりも悔しい思いをしていたと思うんだよね。

そこにいきなり寝てるところを叩き起こされて、
パンツ一丁にさせられて。

挙句の果てに、グラウンドの神様に謝って正座しろと言われたんだ。
星野さんだってふてくされるよ。

だけど不満に思いながらも、
監督の言うことに従って正座したそうなんだ。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。
コラムは毎日発信していますので宜しければ明日もまた読んでみてください。

篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi 日本空手道建武館 館長
■道場生に伝えたい“拳足は警策なり”。

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※『空手のこころ』は2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものですので、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。

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