2012-06-21
野口健さんは、
“山をきれいにしよう”というムーブメントを巻き起こしました。
彼の業績はしかしそれだけではありません。
もう一つ、偉大なことをやりました。
それは、シェルパという存在を大きく取り上げたことです。
登山隊の重たい荷物は、実はシェルパに背負ってもらってるんです。
登山隊よりシェルパのほうがすごいわけです。
ところが脚光を浴びるのは登山隊だけ。
そのシェルパが毎年たくさん遭難で死亡していることを、
野口さんが知りました。
シェルパは雇われて死亡してもなんら補償はないそうです。
その人に子供がいれば遺児となって、
その後はとても生活が苦しくなってしまいます。
そこで野口さんは『シェルパ基金』を設立しました。
これはシェルパの遺児達の教育費を負担しようというものです。
この山岳界の古い歴史で、このようなシェルパの存在を、
クローズアップしたのは野口さんが初めて。
これはものすごいことです。
だって、過去の登山隊が心の中で
「ごめんなさい」と叫んでいたことを形に表したわけですから。
もしかしたら山岳界では“ご法度”だったかもしれません。
だけど、登山隊がこれからもヒマラヤに登り続けるには、
シェルパとの共存共栄が必要です。
それを考えると、問題提起の一石を投じた野口さんは、
勇気ある提言だったと歴史は語るでしょう。
シェルパ基金
http://www.actions.jp/syerupa.html
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篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi 日本空手道建武館 館長
■これからの社会の在り方として建武館が投げかける大事なメッセージ“よその子もうちの子”。
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※『空手のこころ』は2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものですので、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。