『アンパンマンと正義』 30

2011-04-22

そういえばアンパンマンが自分の顔を食べさせたよな…
子どもにとってはドキッとするようなシーンですが、
確かに食べさせていました。

やなせたかし氏が絵本のあとがきで語っています。
ほんとうの正義というものは、決してかっこうのいいものではないし、
そしてそのためにかならず自分も深く傷つくものです。

空腹の者に顔の一部を与えることで、
悪者と戦う力が落ちると分かっていても、
目の前の人を見捨てることはしない。

かつそれでありながら、
たとえどんな敵が相手でも戦いも放棄しない―。

やなせたかし氏のことばを聞いておやじの言葉を思い出しました。
「弱い者いじめをしている者が目の前にいるのに、
それを止められないのは男気がないというものだ」

正義を守る。
弱い者の味方をする。
そして、それは犠牲を払ってでも行う。

これがアンパンマンのテーマでした。
子どもマンガと侮ることなかれ、ですね。

子どもたちはアンパンマンから「正義」を学びました。
しかし、
「正義のためには自分も深く傷つく」
というメッセージまでは、なかなか届きません。

だけれど、この震災で多くの子ども達は、
やなせたかし氏のメッセージが心に届いたことでしょう。
いつもより増して、アンパンマンがかっこうよく見えてきました。

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篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi
日本空手道建武館 館長
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※『時局放談』は、2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものです。したがって、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。

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