『イクメン子連れ狼』 27

2010-12-05

オチンチンを紐で結ぶイタズラは、危ないですからマネをしないでください!
親父だからこそ、親父との人間関係ができていたからこそですので。

このように親父は茶目っ気があり優しい人でした。
ただしそれは私が小学生になってからの記憶であって、
それ以前は思い出らしいものはありません。

幼少の頃の親父とのスキンシップはなかったですね。
おそらくとても不安定な子どもだったと思います。

そんな息子をみて親父は猛省し、
足りなかったスキンシップをめちゃくちゃなスピードで濃く深く補います。
そのおかげで私は心の安定を取り返したように思います。

流行語になったイクメン。
育児に積極的という意味では親父はイクメンです。
だけどちょっと違います。

そうですね、イメージとしては、つるの剛士というよりは、
子連れ狼の拝一刀の方が近いでしょう。

ハグなんかありません。
いや、一度だけありました。

ある日の夜。
自宅で会議をした後に酒席となり、
飲めぬ酒をあおって場を和ませ自分は中座します。

2階にいた私を見つけ、珍しく「一緒に寝よう」というのです。
親父は添い寝したこともないくせに、その日は酒が効いていたのでしょう。

私も不慣れ(へんな親子ですが)。
親父とくっついていると照れくさくて眠れません。
ときたま、ヒック…ヒック、と喉を鳴らしながら、眠っています。

私は、親父の寝息の長さを自分と比べながら、
大人の方が長いんだなぁとわけのわからないことを考えながら、
知らぬ間に寝ていたのでした。

普段は「男」としての姿しか見せない親父が、
酒に負けて油断して、優しさと、そして寂しさを露呈してしまった夜でした。

建武館 篠田剛

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※『おれの半生』は2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものですので、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。

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