道場の子ども達にも、いつかトイレの素手磨きをさせたいと思っていました。
貴重な経験を私で終わらせず、
順送りで善い精神を受け継いで欲しかったのです。
昇級審査を終えた次の日は時間的に余裕がある。
よしその日にやろう。
私は実行することにしました。
その日、稽古を一通り終えると、私は子ども達をトイレ前に集合させました。
みんな、これから何が始まるんだろう?
興味深そうに、少し不安げに、私を見ています。
そしてひと言、
「今から素手でトイレを磨きます」
みんな目を丸くしましたが、嫌がる顔をする子はいませんでした。
えーっというのを期待していたので拍子抜けというか、なんていうか。
だけど素手磨きの目的やその想いが、
子どもながらに理解してるんだなと思って、
その時は嬉しかったですね。
私が手本を示したあと、まずは黒帯の先輩からです。
はじめは、指先だけでこすっていた子も、
いつしかあきらめて手のひら全体でごしごし磨くようになっていました。
無心で磨いてトイレがきれいになると、心もきれいになったようで、
やり遂げた子ども達はみな、気分爽快でにこやかに、いい顔をしていました。
建武館 篠田 剛
2010-10-24