『慎みと辛抱と』 25

2010-12-03

食事、服装。
ともに親父は、とても質素でした。

食事は決まって、ごはんに焼いたたらこ、そして熱いお茶。それだけ。
たらこでない日は塩辛くて堅い焼き魚です。

家族で焼き肉を食べに行くときは、決まって親父はミノを注文します。
歯ごたえがあってうまいんだよと。
そのくせみんなには柔らかくておいしい肉を食べさせます。

服装もシンプル。というか無頓着でした。
下着にへちま襟のカーディガンをはおる、という恰好が多かったですね。
もちろん外出するときも。
女性のいる飲み屋でも。
お偉いさんがいる酒席でも「こんな恰好ですみません」と言いながら。

親父は飾りけがなく、質実ということではほかの誰よりも勝っていました。
人の上に立つ者が、下の者より慎み辛抱する。
それゆえに、それを知る者は感心し好きになり、心服したのでした。

建武館 篠田剛

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※『おれの半生』は2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものですので、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。

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