2010-12-02
度量の大きさ、包容力。どれも親父はずば抜けていました。
とても懐の深かった男でした。
高校時代、兄弟の友人が道場に大勢集まり、クリスマスパーティだといってドンチャン騒ぎ。当時ディスコが流行っていてみんな踊っていました。カラーフィルムを貼った手製の照明まで作って。
結構夜遅くまで遊んでましたね。
今、考えると道場でよくやったもんだと思いますが…。
周り近所もそうとううるさかったでしょう。
もし私が親の立場だったら…。
時計をチラチラ見ながらしびれを切らし、上り込んで
「いい加減にしろよ」
と言ってしまうかもしれません。
しかし親父は止めなかった。
なぜだろう。
放任主義で無責任だったわけではないと思います。
常軌を逸したり男として恥ずべき行為をしてしまえば一喝したでしょうから。
親父はまず、何よりも私たちを信じてくれたのだと思います。
我々がどんなやんちゃなことをしても、
ある一線を越えるようなバカなまねはしないと信じてくれていたのだと思います。
一線を越えるまでは目をつぶり、
しかし、何かあったら自分が頭を下げて謝りに回ればいい。
若いうちしかできないんだから。
そんな感じだったと思うのです。
親に信頼されている。
愛されている。
子どもにとってこれほど心を安らかにさせてくれるものはありません。
だからこそ、逆に、曲がったことなどできやしないのです。
もっと良い子育ての方法は確かにあります。
しかし、世間体を気にしてちっちゃなことに目くじらを立てる親が多い中で、
とても異色な人だったといえるでしょう。
建武館 篠田剛
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※『おれの半生』は2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものですので、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。