2012-05-05
イチロー選手は、
「自分の打撃がベストであるためには相手投手のベストも必要になります」と語りました。
なぜ相手投手のベストが必要なのでしょう?
子供が相手なら努力をしなくても打てます。
ところが、相手が凄腕の持ち主ならば、
懸命に努力しなければ打てません。
懸命に努力した結果、昨日の自分より、
今日の自分の方がうまくなれるわけです。
となれば「自分がよりうまくなれたのは、
凄腕の持ち主の存在があったからだ。
凄腕の持ち主がいたおかげで自分がレベルアップできた」
と思えるようになるのです。
イチロー選手はこのような考えから
「相手投手のベストが必要」と語ったのではと思います。
対人で戦う空手や柔道などもまさに同じです。
自分より弱い者と組手をしていれば連戦連勝で心地よくなります。
だけどそんな組手をやっているうちは一向にうまくなれません。
自分より強い者と組手をすればなかなか勝たせてくれません。
しんどいし、負けたら恥ずかしい。
しかしそこをぐっとこらえて続けていけば着実に上達します。
頂点を目指す選手は自分に厳しさを課して、
あえて強い相手との練習を好むものなのです。
イチローはまさにその人。勝負師なんですね。
勝負師、といえば…。
今日はこどもの日。
菖蒲(しょうぶ)の節句とも言われていました。
武家社会の昔、菖蒲を尚武(しょうぶ)という言葉にかけて
「武を尚ぶ」「勝負」になぞらえたのです。
昔は菖蒲の葉が刀の形に似ているので、
子供がチャンバラのように遊んだようです。
今は部屋の中で携帯ゲーム…。
勇ましい男の子が少なくなりましたねぇ。
最後まで読んで頂いてありがとうございました。
コラムは毎日掲載していますので宜しければ明日もまた読んでみてください。
篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi 日本空手道建武館 館長
■これからの社会の在り方として建武館が投げかける大事なメッセージ“よその子もうちの子”。
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※『空手のこころ』は2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものですので、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。