2012-04-28
家庭での教えが大事。
その一例として山岡鉄舟とその母をご紹介しました。
鉄舟の馬鹿正直さはこの母の親譲りのものであり、
それを生涯にわたって貫いたのです。
勝海舟は「鉄舟は馬鹿正直者だ」と言いつつ、
その人柄に深く信頼を寄せました。
鉄舟を幕府の代表として西郷隆盛との交渉役に任命したのも、
その信頼があったゆえです。
面談した西郷も“山岡鉄舟は無我無欲の人”と唸りました。
そして西郷の心を動かし、江戸無血開城となったのです。
さらに西郷は鉄舟を明治天皇の教育係という重職に、
推薦したのでした。
母が涙ながらに諭したあの一刻。
鉄舟自身
「この至情の教訓は、此の一席において余が心神に浸み渡れり」
といっています。
まさに“揺藍(ゆりかご)を動かす手は、世界を動かす”ですね。
老子の言葉に
魚を与えれば、一日食べていける。
魚の取りかたを教えれば、一生食べていける。
というものがあります。
私は、親の役目は子供を自立して生活できるようにさせること、
だと思っています。
そういう意味でも、子育ては恐怖で統制してはだめだし、
お金で釣ってもだめです。
では何かというと、心で動かすということが大事です。
心で動かすためには、親が手本を示す生き方を、
しなければなりません。
しかし、その前提に、まず、子供は親を好きになっていなければ、
真似をしないのです。
最後まで読んで頂いてありがとうございました。
コラムは毎日掲載していますので宜しければ明日もまた読んでみてください。
篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi 日本空手道建武館 館長
■建武館はK-1戦士を生んだ板橋初の道場です。空手道場というと、とても怖くて敷居が高いイメージですが、入ってみると意外にそうでないことがわかります。小さい子から壮年まで、初心者からアスリートまで、すべての人がそれぞれの目的を達成できるよう考えられた道場なのです。
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※『空手のこころ』は2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものですので、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。