2012-04-12
修錬が浅いと習った技を人に試す、
つまり喧嘩に使うかもしれません。
空手ならば殴る蹴る。
柔道ならば投げ飛ばす。
剣道ならば武器を持つ…。
何を習っていても、
悪さをしてしまえば非難を受けるのは当たり前です。
ましてや弱い者いじめなど卑怯なふるまいはもってのほか。
腕力をどんなことに使うのか。
私の場合はガキのころから親にしっかり教わっていました。
おい、つよし。
弱い者がいじめられていたら助けるんだぞ。
そう、いつも私に言い聞かせていました。
おやじはそれを“犠牲的精神”という言葉で表していました。
家にある小さな黒板にはいつも、
その“犠牲的精神”の文字がチョークで書かれていました。
だから、空手を習っても、
弱い者いじめなどに使うことは絶対にありませんでした。
親御さんにおかれても、ぜひご家庭で、“耳にタコができる”ほど、
伝えてください。
今からでも遅くはありません。
わが子にその精神なりをしっかり伝えていきましょう。
これから先、習った技で喧嘩をしないとも限りません。
いや、することもあるでしょう。
しかし私は、子供に語り続けることで、
修練を積みながら治まるものと信じています。
そして、わが子を信じて、
長い目で見守ってあげるのも親の務めなのです。
もちろん私も道場の子は自分の子供だと思って、
これからも技を教える一方で、その精神も教えます。
空手を習う子は乱暴者と十把一絡げに見られてしまうのは、
とても口惜しい限り。
しかしそれを真摯に受け止めて、
粘り強く努力し続けることで誤解を解いていきます。
最後まで読んで頂いてありがとうございました。
コラムは毎日掲載していますので宜しければ明日もまた読んでみてください。
篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi 日本空手道建武館 館長
■道場生に伝えたい“技は心に応ず”“拳足は警策なり”。
■これからの社会の在り方として建武館が投げかける大事なメッセージ“よその子もうちの子”
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※『空手のこころ』は2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものですので、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。