『命も名も金もいらぬ男 山岡鉄舟の自己犠牲』217 日本空手道建武館 篠田剛

2012-03-03
山岡鉄舟肖像 大森曹玄蔵 日本空手道建武館.jpg

自己犠牲の決定版があります。
江戸城明け渡しにおける山岡鉄舟の行動は、
まさにこれぞ自己犠牲というものでした。

江戸無血開城は西郷隆盛と勝海舟による会談で実現した、
という話は有名です。

しかし山岡鉄舟がその実現成功をアシストしたということは、
よく知られていません。

鉄舟は西郷・勝会談の前に、
その準備交渉をするために西郷と面会しています。

徳川慶喜が恭順謹慎する意であることを、
新政府側に伝えないと江戸市中が焼野原になる。
至誠の人、純情の人である鉄舟は、
その主慶喜を思い、西郷に慶喜の恭順を必死に伝えました。

西郷は鉄舟の一途さに感銘を受け、かの勝海舟との会談を承諾して、
焼野原になることが免れたのです。

その時の、西郷が鉄舟という人物についての印象を、
こう語っています。
「さすがは徳川公だけあって、エライ宝をおもちだ。イヤあの人(鉄舟)は、どうの、こうのと、言葉では尽くせぬが、何分にも腑の脱けた人でござる。イヤ生命もいらぬ、名もいらぬ、金もいらぬ、といったような始末に困る人ですが、但しあんな始末に困る人ならでは、お互いに腹を開けて、共に天下の大事を誓い合うわけには参りません。本当に無我無私の忠肝なる人とは、山岡さんの如き人でしょう」

『南洲翁遺訓』にある有名な言葉、
“生命も名も金もいらぬ人は、始末に困る”
これは実は山岡鉄舟を評したものでした。

徳川慶喜からの命を受けた時、
鉄舟は「余の責任は死よりも重しと感じ」たそうです。

国家百万の生霊に代わって生を捨てることは、
言うまでもなく自分が願うところだと意を決したのです。

鉄舟の自己犠牲は人々に感銘を与え、
そして歴史に刻まれることになったのでした。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。
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篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi 日本空手道建武館 館長
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■私は空手の指導で役に立つ財団法人日本体育協会公認上級指導員の資格を取得、また介護予防サポーター、こころの健康サポーターの講習を受けて道場生の体と心のケアに努めています。


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※『空手のこころ』は2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものですので、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。

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