『双葉山の話』198 人生、カッコよく 日本空手道建武館 篠田剛

2012-02-11

道場に通う男子中学生。
一途でひたむきな性格で、
何事も一生懸命やるところに可愛さがありました。

その子がある日の稽古中に足を痛めました。
自爆といって、蹴った足が相手のひざに当たって、
スネの筋肉を打撲したようです。

組手でそこを当てられると、大人でもけっこう痛いものです。
ところが翌日、その子はちゃんと稽古に来ていました。
ただし、組手は見学させてくださいということで。

痛いながらも稽古に来るのは、
今どきの子どもにない殊勝な心がけなのです。
それだけに“組手は見学”についても、
ひとこと言ってあげたい気持ちになりました。

そこで稽古後にその子を呼んで、
「双葉山」の話をすることにしました。

双葉山は史上最多の69連勝を達成した名横綱として有名です。
それだけでなく、私らのような男の生き様にあこがれる者にとって、
有名な逸話があります。

そのひとつが、幼少のころから右目が見えないのを、
公言しなかったことです。

格技をする者にとって片目が見えないことはものすごいハンデです。
ところが現役時代、双葉山はそれを公言することなく、
相撲を取り続けました。
そして怒涛の69連勝。
こういうところに男の魅力というか意気地を感じるんですね。

そこで中学生に、ほかの手足3本があるから大丈夫、
痛いのを隠してやろうぜ、と。
怪我やハンデがあるのに、
それを押して稽古すればもっとカッコいいぞ、と。

あとで考えればこの“右目”の話を、
中学生の怪我に喩えるのは無理がありましたが。
その子は見どころのある奴なんです。
それだけにこういう男の意気地というものも、
無性に教えたくなったんでしょうね。

怪我をしたら安静にした方が治りが早いのはわかっているのですが。
ましてや他人様の子ども。
よけいに悪化させてはどえらいことです。
だけどそれを承知で言うのは、
カッコよくさせたいと思う気持ちが上回っているからです。

最近は意地っ張りとか頑固者を悪い意味でとらえる傾向にあります。
いい意地はどんどん張ってほしいですね。
将来、必ず役に立ちます。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。
コラムは毎日書いていますので、よろしければ明日もまた読んでみてください。
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篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi 日本空手道建武館 館長
■板橋税務署の近くで目にとまる“ガマン売ります”のポスター。そう、建武館はガマンを標榜しています。今、必要なのは弱者へのやさしさです。損をしても正しいことをする正義感です。
■“技は心に応ず”“拳足は警策”も心構えとしてなくてはなりません。“よその子もうちの子”はこれからの社会の在り方として建武館が投げかける大事なメッセージです。
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■私は空手の指導で役に立つ財団法人日本体育協会公認上級指導員の資格を取得、また介護予防サポーター、こころの健康サポーターの講習を受けて道場生の体と心のケアに努めています。

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※『空手のこころ』は2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものですので、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。

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