2011-04-14
本部道場、といっても現在の道場ではありません。
館長(当時)の自宅でやっていたころの話です。
一人のやんちゃな小僧が入会してきました。
彼の名は「浩一」。
頭は坊主で体はぷくぷくと太っていて、
タヌキの子どものように愛らしい男の子でした。
とても快活で、また年下の面倒見のいい子でした。
はじめはヘタくそでしたが、
真面目な性格なので不器用ながらメキメキ上達しました。
いつしか初段の黒帯となり、
みんなを引っ張っていく強きリーダーとなっていました。
新人が入ると、
「ここまで教えといて」といえばしっかりと教えあげてくれました。
大型バスに乗って親子でバーベキューに行った時も
「野球やるぞ~」
とまとめていました。
子どもながらに、とても信頼のおける男の子でした。
彼も高校生になり、
いつしかお父さんの建設会社に勤めるようになりました。
ある日、浩一から私に電話がありました。
近くの居酒屋へ誘いの電話でした。
約束の時間に行くと、座敷に浩一が待っていました。
急にどうしたんだ?と尋ねると
「初任給は副館長(当時)にご馳走すると決めていました」
今日、給料が入ったので誘った、というのです!
いやぁ、嬉しかったですね!
当時彼は未成年でしたが一緒に飲んじゃいました。
飲んだあと、嬉しくて彼を自宅にまで連れ込みました。
自宅でまた一杯やりながら、
昔話やらアルバムを見せるやら楽しいひと時を過ごしました。
まさに“指導者冥利に尽きる”とはこのことでしょう。
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篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi
日本空手道建武館 館長
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※『ひと・もの・こと』は、2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものです。したがって、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。