『兄貴の苦難』170 人生、カッコよく!

2012-09-28

おやじはとうとう死んじまった。
痛いなんて、一言も弱音を言わなかったなぁ。
すごいおやじだった。

だけど事業家としてはだめだった。
義理人情に厚く、人を信じて疑わない。
それがたたって取り巻きは欲の皮が張っているものばかりだった。

会社は大きな借金を残した。
学生だった兄貴は借金と一緒に引き継いだ。
それで兄貴は苦しんだ。

会社の幹部は自分さえという者ばかり。
それで借金が膨らんで当時で3億ほどにまでなった。

そんなとき、人とのつながりで仕事が見つかり、
自力で新会社を作った。
この会社の売上で、ちょっとずつ借金を減らしていけた。

兄貴は青春時代を棒に振った。
金の苦労、人の薄情さを嫌と言うほど味わった。

顔には出さないから世間にはわからない。
武士は食わねど高楊枝、とよく言っていた。

おやじが成功者だったら世間知らずなぼんぼんになっていただろう。
借金はおやじが残してくれた唯一の財産だったかもしれない。


最後まで読んで頂いてありがとうございました。
コラムは毎日書いていますので、よろしければ明日もまた読んでみてください。

篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi 日本空手道建武館 館長

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※『おれの半生』は2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものですので、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。

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