道場に「応心技」という墨痕あざやかな額が掲げられています。
“わざ、こころにおうず”と読みます。
その意味は「心の在りようで技は一変する」ということで、まさに至言。
先述の通り空手は拳足を使いますので、
いまだに野蛮な印象を受けやすいのです。
しかし、そうではないのですよ、ということを訴えていかなくてはなりません。
確かに覚えたての技で人を殴ることはあるかもしれません。
しかし修練を積むことにより、
胆力を練るなど人間としての生きざまを学んでいきます。
すると徐々に力ずくの行いをしなくなり、やがてはもめごとを治めるなど、
暴力などに対する抑止力として活かすようになっていくものです。
空手の技は、ケンカの道具にも仲裁の道具にもなりうるということです。
その人の技はその人の心がけの通り表れるということです。
手足を動かしているのは心。
強くなりたいならば、まずは心に誓うことです。
強くなりたいと心に誓うのです。
その強くなりたい一心はやがて態度行動を変えて、
技に変化をもたらして、いつしか技を上達させます。
技が上達し体が鍛えあがると、
自分の信念も曲げずに振舞う逞しい行動力と強い精神力が備わります。
技の上達は自然と心をも強くさせ、
そして強い心は正義と勇気をも芽生えさせ、
ついには豊かな人間性を育ませるのです。
建武館 篠田 剛
2010-10-15