『よその道場の子のお話』152

2012-07-31

それにしても暑かった。
東京では強い日差しが照りつけて気温が上がり、
体育館の中は蒸し風呂状態。

そんな中、開会式で見かけた一人の男の子。
この子だけ頭ひとつ飛び出ているので目立ちます。
なぜかと言うと、みんな体育座りとかあぐらをかいている中で。
一人だけ正座をしてたから。

たった1人、正座し続ける男の子。
この子はこれまでの試合ではいつも初戦敗退。

ところが今回は1回戦を勝利で突破。
続く2回戦・準決勝は延長戦引き分けの末に、
体重判定で敗れましたが大健闘でした。

負かされた相手は、今とても勢いに乗っている道場の子です。
応援の声は物凄く、
道場がひとつになって応援する様子は、まさに圧巻。
相手のセコンドの声も聞こえないほどです。

ところがこの子。
負け試合でクシュンとなるのが普通ですが。
大応援団の勝利の歓声に紛れても聞き取れるほど大きな声で。
「オォス!」

勝ち方を教える先生は多いじゃないですか。
しかし、負けたときの振る舞い方を教える先生って。
いや教えはするけれど、それを実践させるまでにはなかなか。
なかなかできないもんですよ。

開会式の初めから、大会が終わるまで。
試合時間の1分30秒だけが試合、ではないんですね。


というよりも、試合場は道場と同じ。
試合場にひとたび入れば、そこは道場なんだと。

小学校3年生。
そんなに長い集中力、大人でもできません。
たいしたもんです。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。
コラムは毎日発信していますので、よろしければ明日もまた読んでみてください。

篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi 日本空手道建武館 館長
■これからの社会の在り方として建武館が投げかける大事なメッセージ“よその子もうちの子”。

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※『ひと・もの・こと』は、2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものです。したがって、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。

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