『初めての富士登山』126

2011-06-07

建武館の子ども達に日本一を経験させたい。
それなら富士登山だ。

すこぶる単純明快な発想でした。
その目的は、矜持。

実は私、登山経験がありません。
当然、富士山に登ったことなどありません。

よそ様の子を預かるのなら、
まずはどんなものか自分自身が体験しなければ。

そこで私は単独、富士登山することにしました。
1998(平成10)年9月、34歳のときでした。

さて五合目から出発した私。
独りなものですから会話することもありません。
景色なども見ず、ただ黙々と登ります。

後ろからザクッザクッと足音が近づきます。
馬鹿な私はこんな時も
“負けてたまるか”
と追い抜かされないようにピッチを速めます。

どんな時も負けず嫌いが出ます。
ほんとうに、自分でも呆れてしまいます。

やはりというか、まだ日が昇らぬ薄暗い時間に富士山頂に到着しました。
あれだけハイペースで登ったのだから早く着くのは当たり前です。

しかしこれが高山病にかかる原因となりました。
山頂では頭痛と吐き気で立っていられず横になっていました。

なかなか明るくならないと思ったら、
天候は雨こそ降らないが暴風で横殴りの砂嵐。

ご来光も仰げず、高山病で気分もすぐれず、
おまけにカメラが砂嵐で壊れ、帰宅後に女房にどやされました。
踏んだり蹴ったりの散々な富士登山でした。

だけど、帰りの車中、高速道路から見えた富士山。
車中からは山頂の風景は肉眼では見えないけれど、見えるようで。
あの山頂に登ったんだなぁ、と、しみじみ感動しました。

よし、絶対に子どもと登るぞ。
そして「あそこまで登ったんだよなぁ!」と見つめ合うんだ!

最後まで読んで頂いてありがとうございました。
コラムは毎日書いていますので、よろしければ明日もまた読んでみてください。

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篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi
日本空手道建武館 館長
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※『おれの半生』は2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものですので、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。

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