『無情』 11

2011-03-19

被災地、宮城県女川町のとても辛い事実です。
60代男性は母と妻とでどうやって逃げようか迷っていました。
そこに津波が一気に押し寄せ3人を飲み込みました。
一命をとりとめた男性は2人をがれきの下に見つけます。
妻の遺体はがれきを除いて引き出し地面に横たえさせました。
しかし母はがれきの隙間から見えるが取り出せない。
行政もそれを知りつつ人手が足りず、後回しにせざるを得ないのです。

私は義母を昨年1月に亡くし、
火葬場のとても寒い安置所に置かせていただきました。
安置所の中には複数の棺がありました。
その一番奥にある義母の棺を開けて、
女房は涙ながらに死に化粧をしてあげていました。
こんな寒い中に居させてごめんねと、
何度も何度も心の中で謝っていたと思います。

被災地では棺に入れてあげることもできない。
肉親にとってどれほど悲しいことか。
こんな光景が、
被災地のいたるところであるのかと思うと胸が詰まります。

宮城県内では南三陸町だけでも遺体が千体以上、
横たわったままという。
人手が足りず、火葬場も被災して使用不能。
被災地がいち早く復旧し整備され、
安らかな眠りにつかせてほしいと願うばかりです。

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篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi
日本空手道建武館 館長
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※『時局放談』は、2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものです。したがって、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。

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