『慙愧と決意』 11

小学3年生頃までは、父との交わりのなかった生活を送っていました。子供っぽさがなくなり、明るさを失いつつありました。それに気づいたのであろう。父はつとめて私と触れ合ってくれました。良い点を見つけては褒めてくれました。徐々に明るさを取り戻しつつあったのでした。

父に触れて男らしさについて意識し始めたのもこの頃だったと思います。ただ、それはまだ表面的なもので、芯から男らしい態度行動をとれるようになるのはまだまだ先のことでした。

小学6年生から中学1年生にかけて小さな反抗期を迎えます。友達優先となり、単に友達がいるからという動機で、塾に通ったり、部活に入ったりします。

空手から距離を置き始めたのです。

そしてちょうどその頃。
今でも悔やみ、人に言うのも恥ずかしいことをします。それは同級生へのイジメです。

イジメは一部の男子から始まったと記憶します。足の一部に火傷を負った女子を誹謗したのです。徐々に広まる雰囲気の中で、私はそれを阻止することができず、加担さえしてしまいました。

当時、彼女はあれほどクラスからいじめられていたのに一度も学校を休まず、泣かず、耐えていました。何年か経ち、クラス会で久しぶりに再会した彼女は、見違えるほど凛としていました。

果たして自分なら乗り越えられたろうか。慙愧に堪えぬ思いとともに、その芯の強さに敬服しました。

私は、二度と繰り返さぬよう決意しました。男らしく振る舞い、弱い者いじめをしないと。大勢で寄ってたかって一人を責めないと。

思い出したくない暗い過去は誰にでも一つ二つあるはずです。俺は何であんなことしてしまったんだ。思い出すたびに自分が情けなくなります。

しかし、こういう言葉を聞いて救われる思いがしました。それは、
過去は思い出さなければ存在しない、しかし隠しているわけではない。
という言葉です。

自分は過去の失敗を隠している悪い人間だと思えば、自分に自信が持てなくなります。引き出せば思い出すが、隠しているわけでも開き直ってのほほんとしているわけでもないのです。

これからは男らしく生きて行こう。
そう決意するきっかけにさせてもらったのでした。

建武館 篠田剛

2010-11-11

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※この『おれの半生』は2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものですので、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。

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