『要領のよさだけで生きてはいけない』107

2011-09-04

今日も審査のときのお話をします。
昇段審査は組手のみを行います。
前半は全員でローテーション、後半は一対一で対戦するという内容です。
全員ローテーションでは、
審査を受けない者同士で組手をする場合もでてきます。

審査を受けない者はほとんど注目されません。
応援に来た人達の視線は主役である受審者に向けられるからです。

そこで、こういう話をしました。
「みんなは脇役です。周りの人たちは注目していないから手を抜こうと思えば簡単に抜けられます。だから受審者との対戦の番が回ってきたら本気を出せばいい。あとの組手は適当に流して体力温存すればいい。それが一番要領いいやり方だ。
しかし、そうしない。脇役でも手を抜かない。人が注目していなくてもやる。それが無駄とは思わない……。みんなは、そっちの道を選んでください。将来、必ずよくなります」

審査を受けない者が、受ける者と同じ心もちでやるなんて無理難題です。
だけど、隣でガンガンやっていればその声や音や振動が伝わって否応なくモチベーションが上がります。
隣でのガンガン、が“がんばれよ!”“絶対に受かれよ!”というエールに聞こえてきます。

他人の審査なのだけれど、受かろうが受かるまいが自分にとって重要なものではないけれど。
ガンガンやれば痛いし辛いし、疲れるだけだけど。
それでも仲間のためにやる。

要領のよさだけで生きていって地道な努力を避けるとどうなるだろう。
人目につかないものは手抜きをしてしまうとどうなるだろう。
自分に都合のいいことは引き受けるが割に合わないと思ったら断るのはどうだろう。

信用とか信頼は目に見えないものです。
人が見てようがいまいが、
ブレない行いを続けていると心に自信と信念が生まれます。
嫌なことでも損だと思ってもそこであえてやるから信用がついてきます。

そういう行いをしていれば、
いずれその人の徳となって備わるものだと思っています。
そういう人になってもらいたくて、子ども達にお話をしました。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。
コラムは毎日書いていますので、よろしければ明日もまた読んでみてください。
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篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi 日本空手道建武館 館長
財団法人日本体育協会公認上級指導員 介護予防サポーター
板橋区にある地元密着の空手道場で“ガマンを売る”空手家
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※『空手のこころ』は2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものですので、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。

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