『イタイ……痛いを居たいにさせてくれる道場へ』104

2011-03-10

当時、少年部は伝統派いわゆる寸止めで、
一般部は直接打撃というややこしい道場でした。
少年部は私が担当し、一般部は館長が指導しておりました。

館長の指導は単純明快で、
テクニックについてああだこうだ言う前にガツンとやろう、
という方針でした。
突き方はこうする蹴り方はああするなどといったことは細かく言いません。

だから基本はへただけど組手は強い、という者が多くいました。
心は基礎、ということで、まず強い心を基礎固めしないと、
上物のテクニックは築けないということです。

したがって組手になると結構激しくやっていましたね。
やったらやり返すという具合で、バシバシッと叩く音を響かせていました。

そんな痛くて怖いことやる道場にわざわざ入会する人間なんて、
いないだろうと思いますよね。
社会人が太ももに青あざを作るほどやってられませんから。

ですが予想に反してみな組手のあとはやり終えた充足感を感じていました。
もちろん痛いですよ。
足を引きずって歩くことしばしばでしたから。
痛いのは充足感のための代償だと納得できる者が多くいたのでしょうね。
みんなの顔はスッキリ爽やかでした。

館長の教えとして突き蹴りは坐禅の警策と同じという考えがあります。
つまり相手の弱い部分、足りない部分を、
警策の代わりに突き蹴りして高めあうということです。

それが当時の道場生に浸透していたので、
スッキリ爽やかに組手をやり終えられたのでしょう。

痛い!で終わらずに帰り際は充実感をみなぎらせて帰っていきました。
まさに、痛いけれど居たい気持ちにさせてくれる道場でした。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。
コラムは毎日書いていますので、よろしければ明日もまた読んでみてください。
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篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi
日本空手道建武館 館長
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※『おれの半生』は2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものですので、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。

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