『水かぶり やってよかったと思う瞬間』99

2012-01-23

世の中へどうやってメッセージを伝えよう…
子どもにしてあげられることって何だろう……。
私たちにできることは、たかが知れているんです。

たとえば、この水かぶりがそれです。
このことも「いやぁ、やっぱりいいことだよ!」とわかってくれる人半分。
あと半分は「何やってんだよこんなご時世に」という人。

せいぜい寒空の中を裸になってバケツで水をかぶることぐらいしかできません。
でもそれでいいんじゃないでしょうか。
しかし、必ず子供の自信につながる。

かぶり終わって、道場で、お母さん方が作ってくれた、
それはそれは美味しかった豚汁。
みんなで美味しくいただきました。

子ども達の輪に入って、私もアツアツの豚汁を食べていました。
すると、となりにいた男の子。
ふだんおとなしい子です。
その子が私に話しかけてきました。
純真な目を向けて「来年もやる」。
笑顔でそう言ってくれたんです。
いやぁ、参った。
嬉しくてしかたありません。

これなんですよ。

何の得にもならないことに時間も労力もかけてと、
お叱りをうけることもあります。
だけど、これだけでいいんですよ。
この言葉を聞くだけで。

その子は寒空に冷たいアスファルトの上で水をかぶったんです。
冬場は顔を洗うのもためらうほどの冷たい水を。
スポーツとかゲームとか楽しいものじゃありませんよね。
ふつうに考えれば楽しいわけがない。
それなのにまた来年もやるというんです。

やってよかった。
そう思う瞬間です。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。
コラムは毎日書いていますので、よろしければ明日もまた読んでみてください。

篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi 日本空手道建武館 館長
■板橋税務署の近くで目にとまる“ガマン売ります”のポスター。そう、建武館はガマンを標榜しています。今、必要なのは弱者へのやさしさです。損をしても正しいことをする正義感です。

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※『ひと・もの・こと』は、2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものです。したがって、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。

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