2011-06-16
女性を守ろうとして電車にはねられて殉職した宮本邦彦警部。
あの事故から一年が過ぎ、
宮本さんの勇気を後世に伝えようと一冊の本が出版されました。
「伏してぞ止まん ぼく、宮本警部です」という絵本です。
この絵本からは、
他人と比較せず、自分にできることを諦めずに続けることの大切さ。
そして、真面目に愚直に、誠心誠意努力することの大切さが伝わってきます。
ぜひ読んでほしいと、地元の板橋第一小学校の図書室に置いてもらいました。
この絵本を出版した方は山口秀範さんです。
山口さんはもともと15年間、海外勤務をしていました。
しかし海外に比べ日本の子供に元気がないのを憂えます。
子供たちに偉人伝を語り聞かせて自信をもたせたい、
という思いから途中で帰国し退職。
そして平成9年に「寺子屋モデル」という会社を作りました。
山口さんは一周忌法要後、このように話されたそうです。
「まじめさや愚直さが軽く見られがちな今、宮本さんの生き方から、
誠心誠意尽くす大切さを教わった。
それを子供だけでなく大人にも伝えたい」
自分に自信が持てないと落ち込んだり、
新しい道に一歩踏み出せず悩んだりしている人に、
そして日本中の子供たちに伝えたいという思いで出版されました。
嘘やサギまがいがまかり通っている世の中、
愚直さこそ最も必要とされるものではないでしょうか。
「伏してぞ止まん」
これは宮本さんのお父さんの口癖だそうです。
精一杯努力したうえで、もう一歩踏み出し、
うつ伏せに倒れるまで止めるな、との教えです。
「いったん始めたからには途中で投げ出すなよ。
『伏してぞ止まん』だぞ、邦彦!」
おとうさんはこのように宮本さんを励ましたと絵本にありました。
宮本さんが我が身を顧みず女性を救ったのは、
まさにこの教えを守ったからでしょう。
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篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi
日本空手道建武館 館長
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※『空手のこころ』は2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものですので、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。