『板橋の偉人』66

2011-06-15

この事故は平成19年2月6日に起こりました。

東武東上線ときわ台駅でのことです。
間もなく急行電車が来るホームに自殺願望の女性が入り込みました。

後を追って助け出そうとする警官。
ものすごい勢いで抵抗する女性の腕を引っ張って、
線路外に連れ出そうと必死でした。

近づく急行電車。
ホーム下の避難場所に女性を押し込もうとしましたが、
間に合いませんでした。

警官は女性をかばって覆いかぶさり、
二人とも車両の下敷きになってしまいました。
女性は助かりましたが、警官は6日後に息を引き取りました。

その警官の名は、宮本邦彦さん(警部、当時巡査部長)。
ぎりぎりのところで諦めて自分は助かっても、
非難されることはなかったでしょう。

しかし宮本さんはその女性のために我が身を顧みず助けました。
できることではありません。
そこが私たちの敬してやまないところなのです。

お葬式の席で、宮本さんの奥さんは次のように挨拶をしたそうです。
「夫の人間性、性格から考えて、
これも天命として受け入れようと努力しています。
お父さんの行動を誇りに思います」

宮本さんのことを一番理解してくれたのが、やはり奥さんでした。
こんな現代の偉人が板橋区にいたことを、私たちも誇りに思います。

 誠の碑 文.jpg
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篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi
日本空手道建武館 館長
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※『空手のこころ』は2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものですので、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。

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