2011-01-23
父子鷹に登場する勝海舟の名は誰もが知る所です。
海舟のほか、幕末から明治にかけて素晴らしい人物が登場します。
西郷隆盛、大久保利通、木戸孝允、岩倉具視、そして坂本竜馬…。
しかし私はこの父子鷹を読んで、
勝海舟よりも、他の誰よりも心が惹かれた人物がいました。
それは、
山岡鉄舟です。
山岡鉄舟は、世間では西郷隆盛や勝海舟に比べて知る人は少ない。
だけどなぜか私は、この山岡鉄舟なのです。
私は、鉄舟の人柄や生き方に共感し、共振したのでした。
道場生にグローブなどをプレゼントするときによく、
勿怠
と書きます。
おこたることなかれ、と読みます。
これは実は山岡鉄舟が書き記したことばなのです。
私は自分自身に言い聞かせるように使っています。
猛稽古で辛くなると、両手で顔をパンッパンッと叩き、
尻や太ももが痛くなるほど、気が違ったかと思われるほど、
叩いて喝を入れたものです。
鉄舟は鬼鉄と呼ばれるくらい激しい稽古をしました。
怠け心が出たり、くじけそうになったりすると、
私はそのことをふと思い出しては自分に喝を入れたのでした。
建武館 篠田剛
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※『おれの半生』は2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものですので、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。