2011-01-12
空手の稽古は、基本、ミット、約束組手と続き、
締めくくりに自由組手をします。
私たち指導者は、
この締めくくりにやる自由組手を強くさせるために教えています。
ミットは襲ってきませんが、
自由組手は相手が思いもよらない攻撃を仕掛けますので、
怖いし当たれば痛いしで、ときに心が折れそうになります。
だからこそこの自由組手が大事だというのです。
つまり痛さ怖さに逃げずに立ち向かえる、
心の強い人になってもらいたいからなのです。
しかし組手が強いだけで威張ってしまう子もでてきてしまいます。
中には格下の弱い子をやっつけて自慢する子も出るかもしれません。
組手が強くなると、さも自分が偉くなったように錯覚します。
この偉ぶるところがいけないのです。
ここら辺は、
社会での勝ち組が負け組を見下し蹴落とす構図と一緒です。
これはいけません。
……だけどおかしいですよね。
自由組手を強くさせるために教えているのに、矛盾していませんか?
強くさせておいてそれはないでしょう!と言われそうです。
そこで言葉のサンドイッチが必要になるのです。
トイレ掃除やボランティアが必要になるのです。
組手が強いだけで何が偉いんだ?と教え込んでいくのです。
建武館 篠田剛
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※『空手のこころ』は2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものですので、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。