『平野復興相発言の批判報道で思うこと』42

2011-10-23

平野復興相発言の批判報道の前に、
先日、ある口論に居合わせたことについてお話しします。
それは常駐警備員のいる有料駐車場での出来事でした。

その駐車場はあいにくの満車でした。
乗用車のドライバーが
「ほかの駐車場を案内してほしい」と言ったところ、
警備員は「それはわかりません」と答えました。

その問答が引き金となって、二人の口論が始まってしまいました。
身勝手な要求をするドライバーに警備員さんも大変だなと思いつつ、
しばらく静観していました。

次第に語気が荒くなるドライバー。
やがて警備員も怒り始めてしまいました。
近所からの通報で警備員の上司が来たのですが、
二人は一向に自分を譲りません。
見かねて私が仲裁に入ってどうにか収まりました。

ドライバーの言い分は、
利用客の気持ちを察して気配りのある言葉づかいをしてほしかったのです。
しかし警備員としてみれば、
ほかの駐車場の空き情報など知る由もないので案内などできません。

二人の言い分はどちらも正論のように聞こえます。
でもどうなんでしょう。
二人とも正論をいい通すだけで譲歩がない。
ちょっとした言い回しでこんな大ごとにはならなくて済んだはずです。

最近やけにこういう、
さも自分は正しいのだと言わんばかりの主張があふれていませんか。

何か人の心に謙虚さが足りなくなったような気がしてなりません。
まるで「譲ると負け」と駆け引きをしているように聞こえてなりません。

ここ数年、ホスピタリティという言葉をよく聞きます。
おもてなしの心、思いやり、歓待することです。
しかしそれ以前に、
謙譲の美徳というすばらしい日本人の心があるはずです。
日本人は見失ってはいないはずです。

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篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi 日本空手道建武館 館長
財団法人日本体育協会公認上級指導員 介護予防サポーター
板橋区にある地元密着の空手道場で“ガマンを売る空手家”
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※『時局放談』は、2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものです。したがって、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。

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